「基本認証の廃止」という、見過ごされがちな困りごと
ある個人開発者が、Microsoft 365のGraph APIを使った連携ツールを一人で作り上げた。きっかけは派手なアイデアではない。マイクロソフトが旧来の認証方式、いわゆる基本認証を順次廃止していくという、多くの企業に関わる事情だった。
古い認証方式のまま放置されたデバイスは、ある日突然メールにつながらなくなることがある。気づいたときには手遅れ、という類いの問題だ。彼が作ったのは、社内のテナント内でまだ古い方式を使っているデバイスを一覧化し、新方式への移行手順まで示してくれるWebアプリだった。華やかさはない。けれど、確かな実需に根ざしている。
初めてのネット収益は、10.72ユーロ
そして迎えた最初の課金。金額は10.72ユーロ、日本円にすればおよそ1,700円だ。大きな額ではない。それでも本人にとっては、ネットで稼いだ人生で初めてのお金だった。だから特別な意味を持つ一件になった。
金額の大小ではなく、「他人がお金を払ってくれた」という事実そのものが、続けるための何よりの燃料になる。
ドコくる的に見ると:ゼロを1にする難しさ
この事例が象徴しているのは、副業の最初の壁だ。ゼロを1にするのが、いちばん難しい。多くの人は、最初の一円が入る前に諦めてしまう。逆に言えば、たった1,700円でも「払ってもらえた」経験を一度くぐり抜けた人は、そこから先の景色が変わる。
これから始めるなら:「初めての1円」を目標に
最初の目標を、いきなり「月10万円」に置かないでほしい。狙うのは初めての1円だ。世の中の制度変更や締め切りのように、人が確実に困るタイミングには、小さくても確かな需要がある。今回のツールも、まさに認証方式の廃止という「困るタイミング」に応えたものだった。
ニッチな困りごとを一つ見つけて、解く。その小さな成功体験こそが、次の一歩を踏み出すための足場になる。10.72ユーロは、その足場の最初の一枚だった。