始まりは、提案書を手作業で作る営業担当の姿だった
ある顧客の営業担当者が、Excelで提案書を一枚ずつ手作業で作っていた。時間がかかるし、出来上がる書類の見栄えもいまひとつ。その現場を見たことが、すべての始まりだった。
開発者がまず手をつけたのは、ノーコードツールを使った仕組み化だ。入力フォームを用意し、ワークフローを組み、自動でPDFを生成して顧客にメール送付するところまでを一気通貫でつないだ。手間のかかっていた作業が、フォームに入力するだけで片づくようになった。
「これは他社にも売れる」── 受託から製品への転換
この仕組みを顧客がたいそう気に入った。その反応を見て、彼は確信する。同じ困りごとを抱えている会社は、きっと他にもある。
ただ、ノーコード基盤のままではカスタマイズに限界があった。そこで思い切って、独立したSaaSプロダクト「pricetable」として一から作り直すことを決める。構想に乗ったのは、ほかでもない顧客側のCTOだった。二人はそのまま共同創業者になった。
2年かけて、月$2,500の継続収益へ
道のりは平坦ではなかった。本人はもともと本職のソフトウェア開発者ではない。学ぶことが多すぎて、「火の出るホースから水を飲むようだった」と振り返るほどだ。
それでも手を止めなかった。2年かけて、月2,500ドル、およそ月37万円の継続収益を突破した。一度きりの納品では決して届かなかった数字だ。
ドコくる的に見ると
これは「受託・現場仕事を、繰り返し売れる商品に変える」王道のパターンだ。一度きりの納品で終わらせず、多くの人が抱える共通の困りごとに気づいて製品化する。目の前の仕事の中にこそ、次の事業の種が埋まっている。この話は、それをよく教えてくれる。
副業として応用するなら、まずは日々の仕事で「これ、毎回みんな手間取っているな」と感じた瞬間をメモしておくといい。その不便さこそが、あなたにしか作れないプロダクトの出発点になる。最初の一人の顧客を巻き込めれば、需要の検証と最初の売上を同時に手にできる。現場発のSaaSは、副業から始める個人開発のなかでも、特に堅実な道だと思う。